厚生労働省の「薬害肝炎事件の検証及び再発防止のための医薬品行政のあり方検討委員会」(座長=寺野彰・獨協医科大学長)は3月30日、報告書の取りまとめに向け最終会合を開き、約2年に及ぶ議論を終了した。報告書は、医療現場、医薬品行政組織、製薬企業など、それぞれの課題を列挙し、厚労省をはじめ政府全体で迅速かつ真摯に実現に取り組むよう求めている。最終会合での議論を踏まえ、寺野座長と厚労省で文言修正を行い、長妻昭厚労相に提出する。
医療機関・薬局、医療関係者については「医薬品の使用に係る安全確保において重要な役割を担っていることについて、一層認識を高める必要がある」と明記。チーム医療を推進して安全対策を講ずることや、医療機関は薬剤師を増員し、病棟に質の高い薬剤師を常駐配置する努力を推進する必要性などを示した。
また、医薬品に対する認識を高めるため、医学部・薬学部・看護学部のコアカリキュラムや、国家試験の問題作成基準の見直しを含めた検討を行うべきとした。
厚労省と医薬品医療機器総合機構(PMDA)の一元化など、医薬品行政の組織形態については結論を出すには至らなかったが、その活動を監視・評価する第三者組織について、▽目的と特性▽機能▽位置付け▽委員および事務局―などを詳細に示した。
一方、製薬企業が取り組むべき課題としては、▽臨床試験の公正を図るための諸制度の充実▽薬剤疫学的手法を取り入れた個別医薬品に応じた適切な市販後安全対策の実施▽積極的情報公開▽添付文書の在り方の見直し▽患者とのリスクコミュニケーションの促進と広告の在り方の見直し―などを挙げた。
最終会合では長妻厚労相があいさつし、「長年の議論を真摯に受け止め、実現に向けて努力していきたい。そのことで、厚労省としても国民に奉仕する役所に生まれ変わることができると考えている」と述べた。
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