●「乙女の日本史」(堀江宏樹、滝乃みわこ著・東京書籍・1470円)
●「平安朝の父と子 貴族と庶民の家と養育」(服藤早苗著・中公新書・777円)
●「歴女おすすめ! 戦国武将の美味しい旅」(歴女委員会著・KKベストブック・980円)
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何事にもがつがつしない「草食系」男子が話題になる一方で、力強い男子像を歴史に求める女子が増えている。歴史好きの女性=「歴女(レキジョ)」とも呼ばれ、おじさん史観に代わる「乙女史観」や子育てに共同参画する平安の男子像など、女性目線を意識した歴史本が出版され、新しい風となってきた。
「歴史能力検定」を運営する歴史能力検定協会によると、2001年度に5252人だった女性受検者が、09年度は1万2997人と2倍以上にはね上がり、全受検者に占める比率も35・15%から39・27%と4ポイントアップ、歴女の躍進が顕著だ。
歴史関係の書籍に力を入れる書店として有名な「時代屋」の新百合丘オーパ店(川崎市)の店員、大内学さんは「女性たちは勝者よりは敗者により関心を持つ傾向がある」と指摘する。
「乙女の日本史」は6万部のベストセラーとなった歴女の入門書だが、幕末を彩った「人斬(き)り以蔵」や源義経に倒された木曽(源)義仲など、歴史上の敗者も手厚く取り上げた。
「歴女たちのトークを本にしたい」(編集者の藤田六郎さん)と企画され、神話の時代から昭和まで「さよならおじさん史観」の視線で歴史をみる。たとえば、戦国武将については、「おじさん」ならば彼らの統率力や決断力、合戦の上手下手や人身掌握術などに関心がゆきそうだが、「乙女」の視線は「戦国のイケメン」へと向かう。遺物や遺骨、同時代の記録など「史実のみで、誰がいい男だったかをジャッジ!」とユニークで、おじさんの歴史ファンでも楽しめそうだ。
坂本龍馬の評価もおもしろい。司馬遼太郎は「竜馬がゆく」で、明治維新の立役者にして剣の達人、男も女も惚(ほ)れさせる人たらしとして描いた。しかし「乙女」は「愛してくれた女を不幸にしてしまう体質」と分析する。
何が女性を歴史に向かわせているのか。
埼玉学園大教授の服藤(ふくとう)早苗さんは「男子と同じように、女子も『草食系』が増えているのではないでしょうか。実際の恋愛で傷つきたくないから、歴史の世界でバーチャルな恋を体験している」と語る。
◇平安の子育て男子
歴史家、網野善彦の教えを受け「歴女の先輩」でもある服藤さんの最新作が「平安朝の父と子」。服藤さんはこの中で、約1000年前、平安時代の男たちが出産に立ち会い、育児や教育など子育てに深く関与していたことを明らかにする。現代の父親に子育てへの積極的参加を呼びかけるメッセージでもあるという。
時代屋の大内さんも共同執筆者に名を連ねる「歴女おすすめ! 戦国武将の美味しい旅」は、武将の人となりだけでなく地元の名物やグルメの情報を満載、史跡めぐりに役立ちそうだ。【栗原俊雄】
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